アトピーの入浴の悩みと、最良入浴7つの習慣

アトピーと入浴

私は重度のアトピー症状で、寝たきりの生活を送っていた時は、入浴というのが嫌で嫌で仕方なかった。動くと皮膚が割れるような痛みと、気の狂うような痒み、止まらない浸出液、体温調整が出来ない身体で、入浴する事は、ものすごく体に負担でした。

 

とは言え、入浴していない自分の身体は、自分でも臭うので、一時の辛抱だと思い頑張っていた事を覚えています。

 

今や過去に、アトピ―で重度の症状で寝たきりの生活をした事がある人には、きっと共感してもらえると思いますし、そこまで重度ではない人でも、きっと大変な思いをしていると思います。

 

そして、軽症の人や、これから脱ステをする人には、どれくらい厳しい思いをする事になるのかも、知っていただいた方が心づもりが出来ると思って、私の経験を書きます。

 

後半では、前半で書いた苦労話を元に、私なりの改善方法やコツを書きますので、脱ステや自分の症状が重症化した場合に、対処方法として役に立てればと思います。参考にしてください。

アトピーの入浴時の悩み

一番ひどかった時の事を思い出すのは、本当はしたくない。思い出すと泣けてきてしまう。だから、辛かった思いは書かず、あった事のみを記載します。

服を脱ぐのが痛い

アトピーでなない人にとって、何のことかわからないか、もしくは、骨でも折れていて、脱ぐのが大変くらいに思うだろうが、当時の私は「服は脱ぐものではなく、剥がすもの」だった。

 

アトピーが重症の時は、皮膚がやけどしたようにタダレ、透明な浸出液という体液が、体中から出る。その液は固まるのがだ、皮膚に触れている部分は一緒にくっついてしまう。

 

だから服を脱ぐのは、皮膚を剥ぐようなものだった。痛みを伴い、時には血も出たので、とても苦痛だった。お風呂に入っている時間よりも、この作業時間の方が長く、冬の寒い時期だと風邪をひく。その為、服のまま風呂に入った事もあった。

 

そのままお湯に浸かったり、シャワーを浴びたり。そうして、固まった浸出液を溶かしながら、くっついた衣類を少しずつ剥がし脱いでいく。本当に苦痛。

水がしみるので痛い

痛んだ肌には、どんな温度のお湯も体中に沁みた。その為、息を止め、全身に力をいれて、お湯が身体にかかる痛みをこらえた。

 

お湯をかけた時の、身体のしみ具合で、自分の皮膚の状態の判断にもなった。今日はヒザ裏は、あまり沁みなかったなぁ。。。慣れてくると、シャワーから出るお湯の刺激が、肌に心地よかった。

身体をつい擦り過ぎてしまう

シャワーでも湯船に浸かっても、のんびりユッタリなどしていない。手が勝手に身体のどこかを触りに行ってしまう。そして、掻き始める。

 

指や手で擦った部分は、薄皮が剥がれ始める。鉛筆で書いた文字を消しゴムで消したようなクズが、ボロボロと取れた。擦った下からは、新しい皮膚が出てきて、これで生え変わる・・・なんて事はなあった。長時間入っていると、擦る場所は増えるだけ。そして後で地獄を見る。長風呂はしてはいけない。

身体が痒くなる

入浴の最初の苦痛を過ぎると、少しはホッとする時間になるが、温まって来ると、それはそれで問題になる。血行が良くなる事で、痒みが増えてくる。

 

のんびりしている時間が長いと、皮膚がふやけてきて、余計に皮もボロボロとめくれてしまう。痒くなって掻くので、余計に皮がめくれる。エンドレスだ。

 

頭も洗うが、念入りにすればするほど、傷を作ってしまう。アトピーの肌にも刺激の少ないシャンプーを使うが、指の腹をつかって優しく洗った。でも、一回爪を立てて洗った気持ち良さで、ガシガシ・・・。後の祭りだった。

入浴直後から乾燥が始まる

風呂から出てバスタオルで体を拭いた瞬間、その部分から一気に乾燥が始まる。全身拭き終える頃には、最初に吹いた部分はもう、皮膚に潤いなど無い。白く剥けた肌が表れ始める。

 

これはすぐに何かを塗らないと、油の切れた機械のように、ギシギシと身体を動かす度に、悲鳴を上げるようになる。実際に、体を動かすと、ピリピリと皮膚が引っ張られて、痛い。この時間が一番急がなくてはいけない時間だった。

皮脂が抜けてしまう

入浴直後から乾燥した理由は、タダでさえ少ない皮脂が、入浴によって抜けてしまった事だ。更にまだちゃんと生え変わってもいない皮膚をこすり落としてしまった事で「肌の質」が悪い状況になるからだ。

 

私は、脱ステロイドには取り組んだけど、脱保湿まではしていなかった。その為、入浴後の保湿は油分の多いものを付けていた。

入浴後のケアが大変

油分であれば何でもいいと言うわけではない。肌に合わないものを塗ると、塗った直後から猛烈な痒みが出る。だから慣れていないものを使うのが怖かった。お気に入りのケア用品は、必要以上に家にストックがあった。

 

抜けた皮脂を補うために、外から一生懸命すり込んだ。時間をかけて、何重にも重ねて塗った。アトピーの私は、寝て、起きて、食べて、お風呂、それが仕事だったので、お風呂後のケアは、大事な自分の為の時間だった。

 

頭を乾かすのも、本来であれば早くした方が良い。自然乾燥は余計に皮膚に悪いらしい。濡れた頭皮はもろいので、タオルで擦るとどんどん皮膚が落ちてくる。

 

洗ったばかりなのに、もうフケが出ている・・・。フケじゃないよ、皮膚だよ。いつまでたっても髪が乾かないなぁと思ったら、浸出液が出てきて止まらない。

 

今日は、これだけ丁寧に保湿したから、明日は今日よりは良くなるはず。そんな望みをかけて、沢山ある軟膏やクリームやローションを片付けた。既に自分の周りは、粉だらけだ。コロコロしなきゃな。。。私は掃除がうまくなった。

 

日頃、寝ている事の多い自分の太ももを触って「こんなに細かったっけ・・・」と思うと涙が出た。もう随分、外を歩いていない。

入浴後の倦怠感

入浴中の数分のホッとする時間以来、1時間はゆうに経過したころ、ようやく私の「入浴の行事」が終わる。そして、一気に疲れが出てくる。当時の私にとって、入浴は一番体力を使う「仕事」だった。

 

普通の人なら、早い人なら10分以内で終わる仕事を、私は10倍はかかる。仕事が遅い社員は、役立たずの給料泥棒だな、と自分を皮肉り、ウトウトし始める。

 

こんな時間から寝始めて、絶対夜に眠れなくなる。でも、入浴しただけで体力を使い果たしてしまった。

入浴後の急激な寒さ

つかの間のウトウトが出来る時はまだ良いのかも知れない。でも、皮膚が体温調整できない身体なので、急激に体温が下がり凍えるように寒くなる時があった。慌ててもう一枚着込んで、更に毛布に包まった。

 

実はそれだけではない。体温調整出来ていないので、今度は急激に身体が熱くなったりもする。手足は凍えるほど冷たいのに、お腹や背中は滝のような汗。

 

さっき着替えたシャツを、すぐに着替え直す事も、かなり面倒だった。肌着を着たまま、石油ストーブの炎に背中を向けていると、濡れた肌着の背中から蒸発する湯気が上がった。

 

この蒸発する水蒸気を振り返りながら見て、「この蒸気と一緒に、アトピーも蒸発しないかなぁ」と何度も思った。

皮がめくれてお湯が汚れる

私がお風呂に入った後は、誰もそのお湯には浸かれない。もはや「お湯」ではなく「汚湯」だからだ。どれだけすくい取っても、取り切れない皮膚。

 

今まで脱皮した皮を全部集めたら、私という人間が何体作れるだろうと考えたことがあった。

 

結局、お風呂のお湯は取り換えられた。当時は母親がしてくれた。でも私は、そのうち「悪いなぁ」と思うようになり、シャワーで済ませるようになった。

 

実は今でも体の調子が悪い時は、お風呂は汚してしまう。だから私がお風呂に入る時は、極力一番最後にしている。年頃の娘もいるので私の後では入らせたくない。大好きな娘や息子に「汚い」と嫌われたくない思いがある。

アトピーは入浴をどうすればいいか

アトピー入浴改善方法

これは本人の治療方針によって、変わってくる。だから私の方法を受け入れられない人も多いと思います。私は今、少量だがステロイドを使った治療をしています。もちろん、ステロイドだけに頼った方法ではありません。

 

具体的にしている治療やケアの方法は、別のブログにまとめてあります。

 

私の治療方針は「少しでも良い状況を長くする。悪い状況を無駄に長びかせない」という方法です。アトピーをコントロール出来るレベルでいるために、普段からやる事を決めているという事です。

 

脱ステや脱保湿という方法を選択する事は、世帯主である私には今は出来ません。家族を食べさせていかなくてはいけない。寝ている訳にはいかないのです。

 

今の私には上手に薬を使い、薬だけに頼らない行動をする事が、一番の乗り越え方です。この方法でやっていけると解るまでに、トライ&エラーを繰り返しながら、10年以上もかかりました。

 

今回は、お風呂に対する対策を7つ紹介します。先述の通り、治療方針によって受け入れられない場合は、パスしても大丈夫です。参考程度に聞いてください。

 

私自身も、身体の調子が良い時はやっていないものや、悪くなった時しかやらないものもあります。

①傷の保護

傷が染みて痛みがある場合は、入浴前にその部分に「ワセリン」を塗っています。水が肌に沁みるので、油で保護をするのです。ワセリンがベタベタし過ぎる時は、オリーブオイルを使ったりもします。私と同じ方法ではなくても良いのですが、要するに「傷を保護する」という事です。

 

清潔に保つ事は入浴の目的です。傷口が炎症を起こしている場合、それは、アトピーの炎症ではなく、感染症などの炎症の時もあります。その場合、石けんでキレイに洗う事が、ばい菌の繁殖を防ぎ、傷を早く治します。

 

とは言え、ミスが沁みるレベルであるうちは、患部を保護する事のほうが重要な場合もあります。水やお湯が、あまりにも痛みが伴う場合には、無理に水を付ける必要は無いのです。その場合は早めに医師に処置の相談をしましょう。

②お湯の温度は低く

熱いお湯には浸からないようにしています。40°Cまでの温度で入ります。どこかで聞いた話ですが、41°Cを超えると、皮膚の細胞が痛み壊れると聞きました。皮膚組織はタンパク質なので、高温がダメなのは確かにそうですよね。

③シャワーは弱め&温冷の交代浴

アトピー入浴シャワー

シャワーの勢いも弱めにしています。シャワーの勢いがあると、身体を擦ったり、掻いたりせず、気持ちの良い刺激もあるのですが、実はそれをし過ぎると、シャワーの後、私の身体は痒みが増す事が解りました。

 

ひっかき傷のように深い傷が出来ないけど、シャワーを当て続けた部分は広範囲で荒れてしまいます。一時の気持ち良さに負けると、後で痛い目にあうので、シャワーを使う時は、強さを弱くしています。

 

皆さんの中に「交代浴」という入浴方法をご存じの人もいるでしょう。私はステロイドを使った治療をするので、副作用として副腎という腎臓の一部に負担をかけています。副腎の機能を復帰させるための一つが、この交代浴でもあります。

 

温かいお湯に腰まで浸かり、浴槽から出て今度は、少し冷たいお湯を背中にかけます。それを交互に2・3回。この作業により、「交感神経と副交感神経」という体の機能を切り替えてあげられ、この訓練で副腎の機能を整えてあげることが出来ます。

④塩素の中和

アトピーのお風呂塩素除去

効果があるかは感覚の問題ですが、シャワーには「塩素除去フィルター」を付けました。お風呂の湯船には、塩素を中和する為に、「アスコルビン酸」を入れています。ビタミンCの事です。ドラッグストアで2,000円くらいで買えます。1ボトルで100回分ほどあります。計量スプーンで1・2杯。

 

塩素は、肌に刺激になります。塩素濃度の強いプールなどに入ると、肌に刺激を感じる人は、日頃の水も塩素除去した方が良いと思っています。

 

塩素除去したお湯を使う事で、肌に劇的な変化出るかは、個人差があります。だから、今もし身体が悪い状況であれば、少しでも悪いものは避けるという考えで、取り組まれると良いと思います。

 

実際問題、私も体の調子が良い時は、お風呂の塩素除去はしていません。肌が強くなっているので、必要を感じませんが、悪い時ほど少しでも肌の負担を減らしたいという考えでやっています。肌感覚的には、お湯が和ら無くなる感じはあります。ペーパーを測定する試験紙を今度買って、塩素状況を測ってみたいです。

⑤石けん類のチョイス

アトピーの石けん

これはお好みの問題もあります。私は頭髪に関しては、湯シャンです。週2くらいのペースでシャンプーを使います。体を洗う時も、固形の石けんです。

 

要するに、シャンプーも石けんも、界面活性剤を極力使いたくないという方針です。界面活性剤は、皮膚の刺激になります。私はこれを実感していて、頭皮の湿疹が減りました。体に関しても、固形石けんでのケアの方が、さっぱりした使い心地を感じます。潤いだけ残る感じ。(もちろん、製品にもよります。ちなみに、牛乳石鹸です。青でも赤でもどちらでも良かったです)

 

頭皮は実は私の今残っているアトピー症状の一番の問題点で、試行錯誤している場所でもあります。なぜなら、頭皮は地肌のケアの方法が難しいからです。

 

髪の毛がある分、傷のケアや乾燥対策をしにくい。入浴後出来るだけ早くドライヤーをかける事と、今回の石けん類の使用方法を考える事が、改善のポイントであると思っています。

⑥保湿

アトピー入浴後の保湿

入浴後に保湿をします。保湿の良い理由は、言うまでもなく、肌のバリア機能の代わりになるからです。荒れた乾燥した肌は、外部刺激にも弱く、また内部からの皮脂分泌も過剰に働きます。

 

皮脂の過剰分泌は、荒れた肌の場合、例えていうなら割れた茶碗にお湯を入れるようなもので、どんどん抜けて行きます。その分、他の箇所に回るはずの養分が無駄になります。アトピーの人がどうして寝たきりの場合でも、疲れているのかは、実はここにもあります。

 

皮膚が生まれ変わる為の代謝や、皮脂の分泌というのは、ものすごくカロリーを使うのです。皮脂の分泌が正常な肌で行われる場合は、油を塗らなくても勝手に潤います。しかし今はそんな状況ではありません。

 

生え変わった新しい皮膚ですら、肌の炎症によってダメージを受けているので、すぐに脱皮をしていきます。皮膚と一緒に皮脂も剥がれ落ちていく。湿疹や炎症が起きている以上、それは止まりません。

 

転んでケガをした時にカザブタが出来るでしょ?その部分だけ皮膚って早く生え変わりませんか?重度のアトピーはそれが全身なのです。アトピー自体の炎症が治まらない限り、生まれ変わった肌もすぐに死んでいきます。炎症で既に傷が付いた肌だからです。

 

実は、ここからの考え方が、専門家や医師によって違い、方針が別れるのです。どの部分を最初に治療していくのかや、どこから治療をするのかで変わるのです。

 

脱ステを推奨する医師は、内臓系、副腎や腸の治療を優先する傾向にあると思います。特に副腎の修復がメインだと思います。その方法には、ステロイド治療が邪魔になります。

 

ここの論議に決着はありません。私は私の生活が心地よい方を選んだので、保湿はするという選択をしました。手順は以下です。

 

季節や、肌の状況に合わせたものを使い分けています。夏などは、ワセリンなどのコッテリ油は苦手です。顔などは、汗もかくので、化粧水のようなローションだけです。肌にも使える物を、バシャバシャ使っています。

 

冬場の時はすぐに体が冷えてくるので、浴室内で体を拭き、浴室の中でローションや乳液などの下地保湿だけしてしまいます。そこをするだけで、浴室から出た後のケアのしやすさが、断然違います。

 

乾燥や肌のゴワツキのある部分は、コッテリしたクリームを使っています。商品名は「ニベア」の青缶です。私には、これくらいのコッテリ感と、使用感(べたつき度、匂い)がコスパも含めて合っていました。

 

どこででも手に入るもので、お気に入りが見つかると、ちょっと嬉しいですよね。ニベアは冬場でも基本使っています。化粧水とクリームをベースに、炎症や湿疹、掻き壊しの傷にはステロイドやプロトピックやコレクチムなどの外用薬を使います。

 

薬の塗り方もちゃんと考えて、計画的に塗っています。むやみに塗り続けて、ステロイドが効かなくなった苦い経験があるので、ここのコントロールを一番シビアにしています。

 

とは言え、慣れの問題なので、今は負担に感じません。自分の身体から消えていく傷を見ると、自分の身体と会話している感もあるし、逆に急に炎症が出てきたり、何だかムズムズと痒くなる時には、「ゴメン、ゴメン、ちゃんとケアするよ」と謝ります。

⑦観察

アトピー経過観察

入浴後の身体の状態をちゃんと覚えておくと良いです。大体の人は入浴の時間が決まっていませんか?一日に一回、自分の身体をじっくり見れるような時間は、入浴で裸になれる時以外ありません。その時についでに見て覚えておくと良いのです。

 

日記に細かく付ける必要はなく、一番気になる部分とか、一番悪い部分とかだけを覚えておく事です。治り方や悪化の仕方を観察します。治っていく姿を見ると、やっぱり嬉しいので、やる気も出ます。

 

悪化した時は、自分の身体に聞いてあげてください。「何か身体に無理な事した?」・・・思い当たりますか?

最後に

今回お伝えした「入浴の7つの習慣」は、これをベースに自分の方法を入れ替えてもらって、良い感触をつかんでもらえたらと思います。

 

ケアの数が減っていくことは、アトピーが良い方向に改善している証拠でもあります。ケア0を目指すのも良し!とは言え、一般的な人も、入浴後の多少のケアはしています。簡単に済ませれる方法で日々やっていければ、きっとアトピー卒業も近いと思います。

 

今重症で大変な人も、一個一個出来る事からやれればいいのです。焦る事は無くて、誰かとの競争でもありません。一段飛ばしとか、裏技なんてありません。苦痛をまずは1個でも、取り除けたら成功です。

 

1歩前進したと思ったら、2歩後退しちゃう時もあります。私もそうだった。だからこそ、日常生活の中で、良い方法を見つけていくのです。希望はあります。自分の方法を探していく。近道はありません。

 

コメント