私は40年以上前からアトピーの治療でステロイドを使ってきましたが、現在の皮膚科のアトピー治療でもステロイド軟膏を「標準治療」と呼んでいます。
それなのにも関わらず、アトピー界隈で聞こえてくる言葉に「脱ステロイド」という言葉があります。明らかに歓迎されていない雰囲気なのは、”ステロイド軟膏の治療が怖いと思われているから”です。
もしあなたが漠然と「ステロイドが怖い」と思っているのであれば今回読んでもらうと、怖いと言われるハッキリした意味がわかります。
ステロイドをなぜ使うのか、なぜ標準治療と言うのか、ステロイドの何が悪くて、どうやって使う方が良いのかを解説します。
なぜアトピーの人に「ステロイドを使ってはいけない!」と言うのか
結論はこれだと思います。「副作用があるから」です。薬なので、副作用があるのが当然だと思いますが、ステロイドの主な副作用を3つ紹介でします。
①皮膚が薄くなる
②毛が濃くなる
③慢性化すると、効かなくなる
以上が考えられます。1つずつ解説します。3つ目が一番重要です。1つ目は、酒さという皮膚疾患もありますが、私は詳しくないので深くは書けません。
皮膚が薄くなる
人間の体でも場所によって皮膚の厚みが違いますよね。足の裏とかヒザとかは厚いけど、顔はとても薄いです。場所によってはステロイドを塗る事で、皮膚が萎縮し、血管が浮き出て見えます。特に顔はステロイドの影響を多く受ける部分です。
皮膚の厚さで、ステロイドの吸収率が違うので、間違った強度のものを使う事によって、副作用の出方が大きいと言われています。治療は皮膚科専門医の分野です。
毛が濃くなる
私はステロイドの使用歴が長いですが、男性と言う事もあり、ある程度の体毛の濃さもあります。しかし、ステロイドによる副作用で毛が濃くなったという実感はありません。
父親はアトピーではなく、ステロイドも使っていませんが、私と似たような体毛の濃さです。
慢性化すると効かなくなる
これが一番皆さんがステロイドを怖がる理由だと思いますので、深く解説します。
まずこの「慢性化する」とは、ステロイドを使い続ける事を言います。しかし、ステロイド軟膏の薬情に副作用に記載はありません。なぜ無いのか不思議だったのですが、前に医者に「ステロイドはちゃんと使えば短期間で炎症は治まる」といわれた事があります。
続けて、私にこう言いました。「ちょっと良くなった段階で、”もう大丈夫だろう”と勝手に判断し、使うのを止める。辞めてしまう事で、抑えていた痒みがぶり返す。それを繰り返していくうちに、段々同じレベルのステロイドでは効かなくなり、強度を上げていく事になる。」と言われたのです。
であれば、最初にステロイド処方する時にちゃんと説明をしてほしい。「いや、説明をしています」という医者もいるが、患者に対しても最初の説明が悪い医者がとても多い。
色々検査して、特定の原因が解らなかった場合に、「とりあえず、この薬塗っといて」という医者がほとんどだ。とりあえず出された薬の説明をちゃんと聞くだろうか。「これから重要な話をします」と切り出されたら、もう少しちゃんと聞くのではないか。
少なくても、その病院に初めてかかって、問診する時には、他の病院で説明受けていない前提で丁寧にしてほしい。
ただし、「もう知ってます!」というような患者もいるだろうが、そういう患者ほど塗り方を間違えていている気もする。そこは患者が悪い。
以上3つが、「ステロイドの副作用」としてあげられるものです。今の段階で、すこしまとめておくと、アトピーに「ステロイドを使ってはいけない!」という人がいるのは、副作用があるからという理由で、その副作用は3つほどあるという事でした。
ただ、ここで新たな問題にも出会いました。問題視していた③の慢性化については、ステロイド軟膏の問題よりも、医者や日本の医療に問題がありそうだという事です。医者は、”慢性化する理由が薬ではなく、塗り方が悪いからだ”と言うのです。
医者や日本の医療の問題
私は、使っているステロイド軟膏の製薬会社のHPをちゃんと見たことが無かったので見てみました。そして事実を知ります。
ステロイドは長く使う事を想定された薬ではないという事です。私は自分で勉強するまで、医者から聞く事もありませんでした。ステロイド薬の薬情報に、長期の利用の項目がありません。
「想定されていないので、副作用が無い」医者が言ってた事が、ここから出た言葉だったとしたら、なんと恐ろしい事かと私は思いました。”短期ではエビデンスがある。でも長期は想定外だ” 私は医者に不信を感じました。
短期で終わらせるために、「長期利用を想定していない薬である事」や、「長期で利用した場合に考えられる事」は伝えてないとダメだと思いますが、今まで1度も言われた事がありません。
来院する患者がいっぱいで、一人ひとり説明するのに手間がかかるし、3分で終わらせても1時間かけても、診療報酬が同じである事から、説明がいい加減になっている気がします。私は前に「どうせ出す薬はステロイドだから」という事を診察で医者に言われた事がありました。完全にバカにされています。
しかし、何度も通うような病院では、3分で済ませてもらう方がありがたい場合もあります。診察までに何時間もかかるような病院には行きたくない。そういう患者側の要望も、短い診察になる要因かも知れません。
医者がステロイドをなぜ使うのか
炎症や痒みを短期に止める事ができるからです。エビデンスもあります。
ステロイドは免疫抑制剤です。アトピーの痒みは、アレルギー反応が皮膚に出たものですが、これは免疫が過剰に働きすぎたことで、自分の細胞を傷付けてしまう為、それを抑えるために使われます。
ここからわかる事は、アレルギーとは、元々の自己免疫機能の疾患であるという事です。よく「免疫が弱くなったので、アトピーになった」という人を見かけますが、実際はその逆で、たぶん免疫が正常に働かなくなった事を言いたいのだと思います。
ステロイドは、痒みや炎症を抑えるために有効な薬です。アトピーの人ではなくても、湿疹やかぶれで塗る薬にステロイドが入っているのは、過剰に働く痒み反応を抑えるという事なのです。市販薬でもそれは同じです。(かゆみ止め成分でステロイドの入っている市販薬は沢山あります。)
私も最初、免疫が弱くなるので痒くなるのだと思っていましたが、違いました。免疫が弱くなったら痒くなるとするなら、ガン患者は痒いのか?ってなりますよね。アレルギーは痒みの信号を出し過ぎるから、免疫を抑制するのです。花粉症やぜん息の薬も同じ免疫抑制剤です。
標準治療がステロイド軟膏の理由
標準という言い方をするのには理由があります。
アトピーの治療は、病院で受けられます。当たり前のように聞こえますが、実はこれはすごい事なのです。どこの病院に行っても、同じ価格で、統一されたサービスを受けると言う事なのです。
みんなに公平で安定して提供されるサービスだからこそ、アトピーの標準治療が、ステロイド軟膏だと言えるのです。
受けられる治療にバラツキや、提供される薬自体が安定して手に入らないものであったらどうでしょうか。すごく高額だったらどうですか?
もちろん、その薬の効果がある事は大前提です。ただ、その薬でさえ、作られる前には、かなりの研究開発や治験、臨床をしてきてから世に出てきていて、良い結果が出る確率が高いからこそ、国が認めているわけです。
当然、国が認めたものですので、責任は国と製薬会社にあります。そういう保証もあるから、保険適用で治療を受けることも出来るのです。
あまり事例の無いような、何かあった場合の補償も出来ないようなものを、国が認めることはできません。
民間療法でも効き目があるものは存在するでしょう。でもそれは、一定の基準に満たない効果であったり、安定したサービスが提供できなかったり、効果をうたえるほどの研究数がされていなかったり、医学的・科学的根拠が示せなかったりするので、推奨されるものではないという事だと思います。
だって、自分の治療でそういう不確かなものを使われるの、嫌じゃないですか?アトピーに対して、ステロイド軟膏の治療が標準治療と言われるのは、厳しい基準を満たしているからです。
ステロイドの上手な使い方
出ている症状の範囲、出た場所、症状の出方によって、ステロイドにはランクが5つあります。それだけではありません、どのように塗るか。どのタイミングで塗るかという事も、ステロイドを処方された病院では、指導する義務があります。
”初診ではないから解っているだろう”と医者に勝手に思われて説明されない場合がありますが、私達も医者から言われなかったからというのを言い訳にできません。後々苦労するのは自分です。痒いのは自分なので、損するのも自分です。
体中を全部診せて指導してもらう事は面倒だったり、恥ずかしかったりするので、聞かないまま診察を終わらせているならば、それは患者側が悪い場合もあります。
プロアクティブ療法など適切な塗り方をしていて、予定されている期間を過ごしても、一向に治らない場合には、医者に申し出ると良いと思います。
その辺りがいい加減になっている場合、結果的にダラダラとステロイドを使う事になるので、慢性化して効かなくなるのです。
慢性化した場合、先述のようにステロイドのランクがどんどん上がり、副腎に影響が出て、注射でも効かず、お手上げになります。私が悪い見本です。
使い方をマスターすることが、アトピーの最短の治し方なので、どうせお金取られているのであれば、覚えないと本当に損です。
アトピーがコントロールできるようになった私からのアドバイス
とにかく、炎症を長引かせない事です。痒いとかを一秒でも早く止める事です。眠れない、集中できない、掻いてしまって余計に傷になるという悪い連鎖にならないように、怖がらずステロイドを使う事です。
プロアクティブ方式を使うなら、塗った日をちゃんとカレンダーにつける。期間を意識する事で、ダラダラと使う事が無くなります。
私的なポイントは「痒くならない生活をする」と言うのを実行しています。痒くなったりするのって、自分の生活の中で、何かしらの原因が思いつく場合が多いのです。
寝不足、栄養不足、ストレス、食べ物。(花粉や季節の変わり目もあるけど)
何か「無理したな」というものがあるはずなので、痒くなった2日くらい前からの行動を思い返します。そして、その行動因子を次回からしない。
いくつもの因子が関係する場合、私の例で言うと、寝不足で仕事いっぱいい抱えていて、つい甘い物に逃げたなら、因子は3つ。それが重ならないように次回から生活を気にしています。
そういう「自分を振り返る努力」と、言われた治療方法をちゃんとする事で、アトピーの症状が一気に噴火するような出方はしなくなると思います。
そうなれば、アトピーはコントロールできる病気になるので、あまり怖くなくなります。皆さんもアトピーをコントロールして快適に生活してほしいです。
最後に
このブログを最後まで読んでいる人は、とても勉強熱心だし、そういう人は絶対に治るまでの道が早いと思います。私のブログでは他にも、具体的に私のやっている方法や考え方を紹介しているので、参考になればと思います。
2020/05/29更新 世間に色々あるアトピーの治療法から、私が選んだ10選。この組み合わせで、アトピーが良くなります。コントロールできるようになれば、楽に快適に暮らせます。
とは言え、経験のない問題であったり、方針を決めたり、自分がどうして良いのかわからない人もいると思います。そういう方には相談にものっていますので、連絡ください。ブログ内にある「相談窓口」を読んでみてください。
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